5. ハンダゴテ入門 (はじめての人へ)
このページの目的
ハンダゴテを 一度も触ったことがない人 が、Open Duck Mini v2 の組み立てに必要な最低限のスキルを身につけるための実践ガイドです。
🔥 ハンダ付けとは何か?
ハンダ付け = 2つの金属を「ハンダ」という別の金属で繋ぐ 作業。 イメージは「接着剤」ではなく「溶接」に近い。
🛠️ 用意するもの
| 名前 | 用途 |
|---|---|
| ハンダゴテ | 加熱する道具 |
| ハンダゴテスタンド | コテを置く台 (なければ耐熱マット+台で代用) |
| 糸ハンダ φ0.6mm | 接合材。鉛フリーがおすすめ |
| フラックス | ハンダの「のり」を良くする |
| 濡れスポンジ or 真鍮ウール | コテ先のクリーニング |
| 換気手段 | 窓を開ける or 換気扇 (鉛フリーでも煙は出る) |
| 耐熱マット | 机を焦がさないため |
安全装備
- 保護メガネ (300円程度) → ハンダが弾けた時の目の保護
- 長袖 → 火傷防止
- 作業後は手を洗う → 鉛入りでなくても、念のため
✋ コテの正しい持ち方
ペンを持つように 指3本で軽く 持つ。 力を入れる必要は一切ない。
┃ コテ先 (350℃)
┃
┃ ← ここを持つ
┌─┴─┐
│ │ ← 滑り止めのグリップ
└───┘絶対NG
- コテ先を 手のひらで握る (まちがいなく火傷)
- 通電中のコテを 机に直置き (机が焦げる、最悪火災)
- コテ先を すぐ電源コードに近づける (コードが溶ける)
🧪 練習: 「ピヨピヨ」ハンダ付け
実際の作業前に 練習 しよう。 不要な銅線2本を用意するだけ。
Step 1: コテを温める
スイッチON → 350℃前後まで温める (温調なしモデルは2分待つ)。
「温まったかな?」の確認方法:
- 糸ハンダをコテ先にチョンと当てる
- シュッ と一瞬で溶けたらOK
- 溶けずに固いままなら、まだ温度不足
Step 2: コテ先をクリーニング
濡れスポンジ or 真鍮ウールで コテ先のサビ・酸化膜を取る。 コテ先が銀色に光っていればOK。黒ずんでいたら掃除する。
Step 3: 銅線にハンダを「のせる」(予備ハンダ)
1. 銅線をコテで温める (2〜3秒)
━━━━━┤
🔥 ← コテ先を銅線に当てる
2. 反対側から糸ハンダを当てる
━━━━━┤
🔥
╲ ← 糸ハンダ
3. ハンダが溶けて銅線に染み込む
━━━━━████
4. コテと糸ハンダを離す → 冷えて固まる
━━━━━████ ← 銀色に光る玉良いハンダ付けの見分け方
- 銀色に光っている (✅)
- 玉が 富士山のように裾広がり (✅)
- 表面が 滑らか (✅)
逆に:
- 白くて曇っている (温度不足 or 動かしすぎ) ❌
- 玉が丸くて鎖状 (フラックス不足) ❌
- 黒い焦げ (温度高すぎ・時間長すぎ) ❌
Step 4: 2本を繋ぐ
予備ハンダした銅線2本を 重ねて から、もう一度コテで温める。 両方のハンダが溶け合って、1本の繋がりになる。
予備ハンダ済の銅線A 予備ハンダ済の銅線B
━━━A██ ██B━━━
↓ ↓
重ねて、コテで温め直す
━━━A████B━━━ ✨ 繋がった!💡 上達のコツ
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ハンダがコテ先について 銅線につかない | コテ先が酸化してる | スポンジで拭く、フラックスを塗る |
| ハンダが ボロボロ崩れる | 冷えるのが早すぎ | コテをもう少し当て続ける |
| 銅線が 燃える・黒くなる | 温度高すぎ・時間長すぎ | 3秒以内で離す |
| 二度温めると 以前のハンダが溶ける | 当たり前、それでOK | 一度の作業で完結させる |
🦆 このプロジェクトでハンダ付けする箇所
| 場所 | 難易度 | 説明 |
|---|---|---|
| サーボ延長配線 | ★★☆ | Feetech サーボの線を延長 (足→腰まで) |
| バッテリーホルダー → BMS | ★★☆ | 太い線。十分加熱が必要 |
| BMS → 5V UBEC | ★★☆ | 同上 |
| XT30コネクタ取付 | ★★★ | コネクタが熱を吸う。難所 |
| DCバレルジャック取付 | ★★☆ | 端子に予備ハンダしてから |
| スピーカー → MAX98357A | ★☆☆ | 簡単 |
| LED → GPIO | ★☆☆ | 簡単 |
順番のおすすめ
簡単な箇所 → 難しい箇所 の順で作業すると上達感が出ます。 LED関係から始めて、XT30は最後にすると良い。
🆘 こんなときどうする?
Q. ハンダがいっぱい付きすぎた
→ ハンダ吸取線で吸い取り。あるいはハンダ吸取器 (ポンプ式) を使う。
Q. パッドが剥がれた (基板の銅箔が浮いた)
→ そのパッドは死亡。隣の繋がっている線を直接ハンダする回避策を取る。 予防: コテを長く当てない、強く押し付けない。
Q. ハンダが固まる前に動いてしまった
→ もう一度温めて溶かし、動かないように保持して冷ます。 保持には 第三の手 (ヘルピングハンズ) という補助具が便利。
Q. 煙で目がしみる
→ 換気を強化。マスクと保護メガネを必ず装着。 ヤニ入りハンダ (鉛フリーでもあり) の煙は喉に良くない。
📺 おすすめ動画 (より詳しく学びたい人)
- YouTube「Pace Soldering Tutorials」シリーズ (英語、業界標準)
- 「ハンダ付け 初心者」で検索 (日本語、入門)
✅ 次のステップ
ハンダ付けの感覚を掴んだら、次は ヒートインサート という別の技法を覚えます。 6. ヒートインサート溶着のコツ へ。