6. ヒートインサート溶着のコツ
3Dプリントしたパーツに 金属ネジ穴を埋め込む ための重要な技法。 これが上手くいかないと、ロボットがガタガタになります。
🤔 なぜヒートインサートが必要?
問題: 3Dプリント樹脂 (PLA) は、繰り返しのネジ締めに弱い
STEP 1: PLAに直接ネジを締める
┌────────┐
│ 3Dプリ │ ← ネジ穴
│ ント部 │
└────────┘
↑
ねじ込む
STEP 2: 何回かネジを外す/締める
┌────────┐
│ 3Dプリ │ ← ネジ山が削れた!
│ ント部 │
└────────┘
↑
スカスカで止まらない解決: 金属ナットを樹脂に「埋め込む」
STEP 1: 真鍮ナットを熱で押し込む
┌────────┐
│ 3Dプ▓▓ │ ← 真鍮インサート埋込
│ リント │
└────────┘
STEP 2: ネジを締める/外すしても金属同士なので削れない
┌────────┐
│ 3Dプ▓▓●━━ ネジ
│ リント │
└────────┘🛠️ 必要なもの
| アイテム | 用途 |
|---|---|
| M3真鍮ヒートインサート (100個入りなど) | 埋め込む金属ナット |
| ハンダゴテ + goot PX-28T-NM3 コテ先 | 熱で押し込む |
| 3Dプリント済パーツ | 受け側 |
| ESDピンセット | ナット位置決め用 |
| マスキングテープ (任意) | パーツ固定用 |
| 耐熱マット | 机を焦がさない |
🔥 ヒートインサート溶着の手順
Step 1: コテ先を交換する
ハンダゴテが冷えている状態で、通常のコテ先を外し、goot PX-28T-NM3 を取り付ける。
通常コテ先 (尖ってる) PX-28T-NM3 (M3用、円柱)
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┃ ┃
▼ ┃▓ ← M3ナットがちょうどハマる
(尖) ┃▓
┃Step 2: コテを温める
260℃前後 まで温める。 ハンダ付けは350℃だが、ヒートインサートは少し低め。 温調なしのコテの場合、通電後すぐ作業せず1〜2分待つ。
Step 3: ナットをコテ先にセット
PX-28T-NM3 の先端は、M3ナットがちょうどハマる形状になっている。
1. ナットをピンセットで持つ
┌─┐
│ │ ← 真鍮ナット
└─┘
2. コテ先の先端にナットをかぶせる
━━━┓
┃▓ ← セット完了
┃Step 4: 樹脂パーツの穴に「垂直に」押し込む
これが 最重要ステップ。
重要ポイント
- 絶対に垂直 に押し込むこと (斜めだと穴が変形)
- 力は入れない (重力 + コテの自重で十分)
- 20〜30秒で完了 (押し込んでる間、加熱は継続)
- ナットの頭が樹脂と 面一 (つらいち) になったら止める
Step 5: コテを抜いて、ナットが冷えるのを待つ
冷える前にナットを動かすと、樹脂が変形したまま固まる。30秒は触らない。
Step 6: ネジで動作確認
冷えたら M3 ネジを軽く締めてみる。 スルスル入って、しっかり止まればOK。
❌ よくある失敗パターン
① 斜めに入れた
症状: ナットが斜めに固定されてしまった 対策: すぐ コテで再加熱し、ピンセットで真っ直ぐに戻す。冷えるまで保持
② 押し込みすぎた
症状: ナットが樹脂表面より下に沈み込んでしまった 対策: そのままだとネジが入りにくい。基本はやり直し (パーツ再プリント) 予防: 樹脂と面一になった瞬間にコテを抜く
③ 温度が高すぎた
症状: ナット周辺の樹脂が黒く焦げた、または穴が広がった 対策: 強度が落ちている可能性。重要パーツなら再プリント推奨 予防: 260℃を守る。温調なしの場合、ナットの溶け込みが2秒以内に始まったら温度高すぎ
④ 温度が低すぎた
症状: 30秒経ってもナットが入らない 対策: 加熱を続ける or 一旦抜いてしばらく温める 予防: 1個目で試して、感覚を掴む
📍 パーツごとのインサート数
Open Duck Mini v2 で、ヒートインサートを入れる主なパーツ:
| パーツ | 個数 | 用途 |
|---|---|---|
| trunk_bottom | 約8個 | 胴体下部の連結・蓋固定 |
| foot_top | 各2個 (左右で計4) | フット組立 |
| body_middle_bottom | 4〜8個 | 中央部の連結 |
| body_middle_top | 4〜6個 | 上カバーの固定 |
| head (内側) | 多数 | Pi・スピーカー・カメラの固定 |
| leg_spacer | 4個 | 脚スペーサーの連結 |
効率の良い順番
- まず1〜2個でテスト練習
- 同じ大きさの穴を持つパーツをまとめて作業 (温度設定や手の動きが揃う)
- 全パーツのインサートが終わったら、ようやくネジ締め組立に進む
🎬 完了の目安
すべて入れ終わったらこんな感じになる:
(本家リポジトリのassembly_guide.mdより。trunk_bottomパーツの例)
🆘 困ったときは
Q. 100個もインサートあるけど、こんなに使う?
→ 実際使うのは20〜40個。余りは次のプロジェクトで使えるので無駄にならない。
Q. ナットが机に転がって失くした
→ 落ちる前提で トレイの上で作業。明るい色のトレイを使うと見つけやすい。
Q. 温調なしコテだとインサート溶着できない?
→ できるが熟練が必要。少し離してコテを当てる、当てる時間を短くする等の調整で対応。 最初の1個は 不要パーツや余分なフィラメント で練習を強く推奨。
✅ 次のステップ
ヒートインサート溶着ができるようになったら、いよいよロボットの組み立てに入ります。 7. 胴体 (トランク) の組立 へ。